地域と人をつなぐ灯り。高校生の思いから始まった「大提灯復活」が博物館へ(中嶋 真由美)

瑞穂のヒト

文化は、人がつなぐ。

地域とのつながりが薄くなった。

そんな言葉を耳にする機会が増えました。

近所に住んでいても顔を知らない。
地域のお祭りに参加したことがない。
博物館には行くけれど、地域との関わりを感じる機会は少ない。

時代が変われば、暮らし方も変わります。

でも、人は一人では生きていけません。

心理学や公衆衛生学の研究では、人とのつながりは心身の健康や幸福感に深く関わることが示されています。だからこそ、地域に「自然に人と出会える場所」があることには、大きな意味があります。

私は、そのきっかけの一つが「地域活動」だと思っています。

その思いを強くしたのが、「大提灯復活プロジェクト」との出会いでした。

このプロジェクトは、かつて瑞穂区の秋祭りでまちを練り歩いていた大提灯を、もう一度地域の灯りとして復活させようという取り組みです。

始まりは、高校生の一言でした。

地域でお祭りをやりたい。

その思いに、秋葉神社奉賛会、瑞穂通商店街振興組合、地域の皆さんが応え、一つのプロジェクトが動き始めました。

世代も立場も違う人たちが、一つの目標に向かって力を合わせる。

その姿は、多くの人の共感を呼び、今年、「あいち商業・地域貢献活動大賞 特別賞」を受賞することができました。

評価されたのは、大提灯そのものではありません。

高校生、地域、商店街、神社が力を合わせ、「地域文化を未来へつないでいく」という挑戦でした。

次の舞台は名古屋市博物館。「体験」と「出会い」のお祭りを開催

そして今年、その輪はさらに大きく広がります。

新たな舞台は、名古屋市博物館です。

9月には「大提灯復活プロジェクト」の展示が行われ、あわせて博物館前庭では「博物館やっとかめ祭り」を開催します。

博物館と聞くと、「展示を見る場所」というイメージがあるかもしれません。

でも私は、文化とは「見るもの」だけではなく、「体験し、人と出会い、受け継いでいくもの」だと考えています。

だから今回のお祭りでは、工作やゲーム、世界の文化体験、スポーツ、クイズラリーなど、子どもから大人まで楽しめる体験をたくさん用意しています。

その体験を支えるのは、高校生や大学生、地域団体、商店街の皆さんです。

子どもたちは遊びながら学び、大人は世代を超えて交流する。

そんな何気ない時間が、「このまちっていいな」と思えるきっかけになれば嬉しいです。



文化を未来へ受け継ぐのは、一人ひとりの「やってみたい」という思い

私は、地域を元気にするのは、大きな施設でも、特別なイベントでもないと思っています。

「やってみたい」と言う人がいて、
「一緒にやろう」と応える人がいる。

その繰り返しが、人と人をつなぎ、文化を未来へ受け継いでいくのだと思います。

この秋、名古屋市博物館は、歴史を学ぶ場所であると同時に、人と人が出会い、新しい地域の物語が始まる場所になります。

ぜひ、大提灯の灯りを見に来てください。

ぜひ、博物館やっとかめ祭りで、地域の人と出会ってください。

そして、もし「何かやってみたい」と思ったら、その一歩を踏み出してみてください。

文化は、誰かが残してくれるものではありません。

そこに暮らす一人ひとりの「やってみたい」が集まることで、未来へ受け継がれていくものなのです。

中嶋真由美

親子で地域活動を通して、人と人がゆるやかにつながる場づくりに挑戦中。
多世代が関わり合えるまちを目指しています。

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